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大学受験 数学の勉強法part5 ~初学者から難関私大・国公立・東大まで~

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こんにちは!

あざみ野・新百合ヶ丘・たまプラーザの学習塾/予備校のMySTEP(マイステップ)です!

今回は高校数学の勉強法(part5)についてお伝えします!

前回の記事はこちら

  

mystep.hatenablog.jp

 

 

mystep.hatenablog.jp

 

 

mystep.hatenablog.jp

 

 

mystep.hatenablog.jp

 前回までの記事では、ステップ1からステップ2の勉強法と注意点をお伝えしました!

今回はいよいよステップ3の勉強法を紹介します!

 

【ステップ3について】

この段階までくると、初手で何をしてよいか分からなくなります。

前回記事【解ける人の思考回路プロセス】の中で、「とりあえず手を動かせ」という話をしましたが、ステップ3までくると、手の動かし方まで分からない問題がいくつかあると思います。

「あれ?今までのキーワードが通用しない・・・」

「最初に何をするべきなんだろう?」

と思う人もこのレベルまでくると多いでしょう。

難関大を目指す人はもうひと踏ん張りです。

ステップ3は当然ながらステップ1、ステップ2で身につけてきた知識が基礎になります。

今まで身につけてきた知識は決して無駄にはなりません。

全く同じキーワードは通用しないかもしれませんが、それに近い考え方がたくさん出てきます。

それではステップ3での勉強法から紹介します!

 

【ステップ3の勉強法・注意点】

この段階の参考書はステップ1、ステップ2のような「例題→問題」という構成になっていないことが多いです。

つまり「例題なしでいきなり問題」という構成になっています。

これはステップ3が実力を伸ばすことのみに重点を置いていることが大きく関係しています。

ここには出版社の「まず、初見で挑戦してみなさい」という意図が込められており、また「問題のくせが強すぎて類題がなかなか用意できない」という可能性も感じられます。

勉強の進め方としてはまず時間を10分なり、20分なり計って解いてみてください。ステップ1やステップ2と違い、例題がないのでなかなかスラスラとは解けませんが、それでもチャレンジしてみましょう。

解らないからといっていきなり答えをみてしまうとそれは「初見を失う」ことになり、非常に勿体ないです。

受験の中で初見問題というのは字の通り、初めて見る最初の1回しか解く機会はありません。また、すぐに答えをみる習慣をつけてしまうと、受験で初見問題がでてきたときに、自分が知っているキーワードを用いれば解ける問題であるにも関わらず捨ててしまうリスクがあります。

難しい問題こそ、その問題に初めて出会えたことを大切に思い、今の自分の実力でチャレンジしてみましょう!

さて、20分の演習が終わり、完璧に解けた問題は自分の実力がついたということで素直に喜びましょう。

逆に解けなかった場合は答え合わせの際、以下に気をつけましょう。

それは、

「解答の表現が自分の知っているどのキーワードを使っているのか」

あるいは

「自分が知っているどのキーワードと近い考え方をしているのか」

を確かめることです。

このプロセスを飛ばしてしまうとステップ1、ステップ2で積み上げてきたものが効果を発揮しません。

過去に学習したものとの関連付けを忘れずにしておきましょう。

また、自分が全く知らない、新しい考え方を使っている場合も多いと思います。

そのときは自分の中の知識という辞書にそのキーワードを追加しておきましょう。

英語を勉強しているときに分からない単語が出てきたら辞書を調べると思いますが、調べただけではすぐに忘れてしまいますよね。

進出単語一覧のようなノートに新しく出てきた英単語をメモして残している人は少なくないと思います。

数学でもぜひこれはやってほしいです。

ステップ3用のノートを作り、自分にとって新しく出てきた考え方・解き方をそのノートに残すようにしておきましょう!

 

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このレベルまでくるとかなり難しい問題が多く、つまずくことも多いと思います。

つまずいたときに先生に質問したり、少し時間を空けたりするなど自分なりの解決法を身につけておきましょう。

ステップ3をしっかりやりこんでおくと、逆にこれ以上の難易度の問題が受験本番で出てきたときにはすぐに「捨て問」としてばっさり切り捨てることができるようになります。

この「問題を捨てる」のもなかなか技術がいることで、本当に数学ができる人は問題を見ただけですぐに自分に解けるかどうかを判断できます。

ステップ3の学習を進めていく中で「数学界の仕分け人」の称号が与えられるくらいの、問題を見た瞬間にその問題の難易度を把握できるような受験生を目指しましょう。

 

【東大数学へのアプローチ法】

ここで、有名な東大入試問題をみてみましょう。

 

例9
「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」

 

「ん?」という問題ですよね。

でも一番「ん?」と思ったのは当時この問題が出題された年の東京大学の受験生だと思います。

どこの予備校もこの問題が出るなんておそらく予想はできていなかったと思います。

さて、どう解きましょうか??

 

前回記事【解ける人の思考回路プロセス】で「問題を区切れ」といいましたが、この問題に関してはどこかで区切ったところで解法が浮かんでくることはありません。

数学は意外と問題文が短いほど難しい問題になりがちです。

ちなみに京都大学では過去に次のような問題が出題されました。

 

「tan1° は有理数か。」

 

この問題はtangentの加法定理を用いて証明を進めていきます。

日本の大学入試の中で最も問題文が短い問題になります。

「〇〇であることを証明せよ。」ではなく、「〇〇か。」という問題文も珍しいですよね。

 

それでは先ほどの東大入試問題:例9の解説です。

例9を解くために必要な高校数学の知識は

余弦定理(数Ⅰ)
② 2重根号(数Ⅰ)

です。

余弦定理自体はステップ1で知識として習得しています。

定理をかいておきます。

 

余弦定理

三角形ABCの3辺をとするとき、以下が成り立つ。

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3つも覚える大変、という方はこのような覚え方をしてください。

「2辺とその間の角が与えられているときに残りの1辺を求めるために使うのが余弦定理である」

どの辺に注目しているかが違うだけで、実はやっていることは上の3つは全て同じです。

 「問題文のどこから余弦定理をもってきたのか?」という疑問を当然みなさんは持つと思います。

2辺とその間の角など問題のどこを探してもないし、そもそも三角形が問題に登場してないから余弦定理を使えないじゃないか、そんなことを思いますよね。

一方、2重根号は数学Ⅰの1章の内容です。

2重根号を外す問題は定期テストではよく出題されますが、大学入試にあまり登場しません。

意外と忘れがちなのでしっかり復習しておきましょう。

 

ステップ3は問題文から何をすればよいか判断しづらいステップです。

以下のような思考プロセスでこの問題は解答することになります。

 

-思考プロセス-
円周率はそもそも円の直径と円周の比なので円を書く
→半径1の円の円周は2πで表せる
→ π>3.05は2π>6.1と同義 
→半径1の円の内側に図形をつくるとその周の長さは円周2πより小さくなる

 

解答は以下のようになります。

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-解答-

半径1の円とその円に内接する正十二角形を考える。

正十二角形の1辺の長さをLとする。

余弦定理より

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よって

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正十二角形の周の長さは

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上の図で、円周正十二角形の周の長さより

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以上のような証明になります。

意外と短いですよね。

ここでは正十二角形を使いましたが、正八角形を使っても同じように証明できると思います。

この問題の面白いところは数学Ⅰの知識しか使っていないという点です。

余弦定理、2重根号、不等式の性質など、数学Ⅰのステップ1レベルの知識、もっというと教科書レベルの知識を組み合わせることで解けてしまうのです。

ただし、問題からは数学Ⅰの余弦定理、2重根号、不等式の性質などを使うという「におい」は全く感じないですよね。

難しい問題は解くために何を使えばよいかという「におい」を受験生にかがせないような工夫がされている場合が多いです。

これがステップ3とステップ2の決定的な違いです。

ステップ2の段階ではまだ問題文から何をしようかという手順を見抜きやすかったのですが、ステップ3ではそれがなかなかできません。

まずは、「解き方を間違えてもいいからいろいろとチャレンジしてみる度胸」が必要になるのです。

これを身につけなければステップ3の学習はなかなか進みません。

「どうせ解けないから解答をみよう」という弱気な姿勢ではなかなか柔軟な発想力は得られません!

ステップ3の初めにも述べましたが、とにかく解いてみることです。

時間を決めて、自分のもっている知識を最大限に活用し問題を考えてみましょう!

 

【京大数学へのアプローチ法】

一応、京都大学の問題の解説も載せておきます。問題は

 

例10
「tan1° が有理数か。」

でした。

使うべき道具は

背理法(数Ⅰ)
②angent の2倍角の公式(数Ⅱ)
③tangentの加法定理(数Ⅱ)

です。

これらもそれぞれは、ステップ1で学習する内容です。

どのようなものかかいておきます。

 

背理法
ある命題の否定を仮定し、証明を進めていく中で矛盾を生み出し、仮定が間違っていることから元の命題が真であることを証明する方法。

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背理法に気づくためには「命題の否定の取りやすさ」に注目しなければなりません。

数は有理数無理数の2種類であるため、命題の否定はかなりとりやすいですね。

高校で学習する証明法には大きく以下の3つがあります。

いずれもステップ1で学習します。

 

パターンA (数学Ⅰ 命題と論理)背理法
パターンB (数学Ⅱ 式の証明)等式・不等式の証明
パターンC (数学B 数列)数学的帰納法

 

今回は消去法でパターンAの背理法を選択してもよいです。

パターンBの等式・不等式の証明はそもそも証明したいものが式ではないため使えません。

またパターンCの数学的帰納法はすべての自然数nに対して成り立つ命題でなければ相手にできません。

このようにパターンB,パターンCが使えないことが分かり、

「あっ、じゃあ、命題の否定も取りやすいし、パターンAの背理法で証明を進めてみようかな」

という発想に至れたら最高ですね。

もちろん、これ以外の証明法を使わなければ解けない入試問題は存在しますが、上の3つに関しては学習単元自体が証明になっていますので、最優先で習得すべき証明法になります。

 

例10の思考プロセスを紹介します。

 -思考プロセス-

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さて、それでは紹介した背理法とtangent の2倍角の公式の力を借りて、京都大学に挑んでみましょう。

解答は以下のようになります。

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(証明終わり)

 

初めのうちはこういった問題を解けることが目標ではなく、

「あっ、こういう考え方、解き方もあるのだなあ」

と納得・感動するだけでも十分です。

このような好奇心も数学力を引き上げる大きな要因の1つになります。

分からなかった問題の解説を深く読み込むことで、

「なんでこういう考え方するのだろう?」という疑問が、

「こういう考え方もあるのだな」という納得に変わり、

さらに「他の考え方はないかな」という探求へと変化していきます。

そしてこの探求心を一度身につけた受験生は、模試の最中に手が止まることはありません。

解けない問題がでてきても、それに対して様々なアプローチを試そうとするため、手を動かし続けるはずです。

受験当日は時間制限があります。

手を止めてしまうと何も生まれませんが、とりあえず手を動かしていると、まぐれでも答えにたどり着けるかもしれません。

繰り返しますが、数学において大事なのは「手を止めないこと」です。

考えることをやめてしまった瞬間に試合終了だと思ってください。

模試で見直しをした後、1秒でも時間が余ったのならば、解けなかった問題を全力で考えましょう。

 しかし、手を動かすことが大事といっても、何1つ分からないという状況であれば、さすがに手を動かすことはできませんよね?

そうならないために何が必要ですか?

 

それは「できるだけ多くの知識を模試会場、あるいは受験会場にもっていくこと」です。

数学において、知識は最大の武器です。

英語の長文を読む際に、少しでも単語を覚えていれば有利になるように、数学でも「知識が多いほどチャンスが生まれます」。

そしてその知識は、前回までの記事で述べたステップ1やステップ2の学習を通じて必要なだけ身につけてください。

 

「明日から無人島に住まなればなりません」と言われて手ぶらで旅立つ人はいないはずです。

大きなリュックの中に考えられる限り必要なものを詰めて持っていきますよね。数学では、リュックは頭です。

その中にできるだけたくさんの公式やキーワード・考え方・テクニックを詰め込んで模試会場、受験会場という戦場に飛び込みましょう。

きっとたくさんの収穫があると思います。

模試の最中に、リュックの中に必要な知識が入っていなかったがために解けなかった問題がでてくることもあります。

どうぞ、忘れ物は取りに帰ってください。

でも、同じ忘れ物をしてはいけません!

一度失敗をしたのならば、同じ問題がでてきたときには必ず解けるようにしておきましょう!

似た問題がでてきたときに対応できるようになると、もっと良いですね。

思考の可能性は無限大です!

  

【難関大ほど必要な計算テクニック-文系の方必見-】

難関大では思考力にプラスしてある程度の計算力も必要になります。

せっかく考え方はまでは分かったのに、計算が複雑すぎて答えまでたどり着けないということはよくあります。

そのため計算をなるべく簡単に、早く済ませる技術は非常に重要といえます。

特に文系の方は理系の方と比べて数学Ⅲをやらない分の損が生まれてしまいます。

つまり、数学ⅡBまででは習わないが、数学Ⅲの知識を使えば簡単に済んでしまう計算法や考え方が実は多く存在するのです。

中でも微分積分の単元は数学Ⅲを学習しているかいないかで計算の速度が明らかに変わってきます。

 

文系の方に数学Ⅲまでやれと言っているわけではもちろんありません。

ただ、数学Ⅲを学習している人は自分たちの知らない知識まで身につけている点を必ず意識しておいてください。

そのことを実感していただくために、

2019年一橋大学の数学・大問3を取り上げてみます!

使うテクニックは

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です。

東大・一橋レベルまで狙っている方はほとんどが知っている道具だと思います。

3次関数とその接線で囲まれた部分の面積を求めるときに使える道具ですね。

一応証明もしておきます。

(数学Ⅲの部分積分を使わなければ証明できないので未習の方は飛ばしてください)

証明

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こちらが一橋大学の2019年の大問3です。

レベルとしてはやや易~標準です。

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(2)で上のテクニックを使います。

(2)は簡単にいうと、下図の斜線部の面積を求めよという問題です。

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同じ答えになりますが、前者の方が明らかに簡単ですよね。

しかし 公式は数学Ⅲでしか導くことができないため、これを使える文系の受験生はあまり多くいません。

逆にいうと知っているだけで、他の受験生より計算面がかなり有利になります。

導出過程を省略して結果だけ覚えるのもありだと思います。

3次関数とその接線で囲まれた面積は

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でバッチリ求めましょう。

センター試験などでもたまに、文系の受験生が知らない微積分の知識を使うと楽に解ける問題が出ます。

このような計算テクニックを頭に入れておき、使うべきところでしっかりと活用しましょう!

 

以上!

大学受験 数学の勉強法を5回に分けてお伝えしました!

塾や予備校へ通わなくても、正しい勉強法を知り、実行できれば独学は可能です!

応援しています!

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