今回の記事では、神奈川県公立高校入試のしくみを詳しくご説明していきます!
神奈川県公立高校入試のしくみ
➀2020年度入試要項抜粋(全日制一般募集)
➁現在の入学者選抜制度
1.選抜の機会は1回(全日制)
全日制、定時制、通信制のすべての課程で「共通選抜」が実施されています。
<共通選抜の特徴>
★全日制、定時制、通信制のすべての課程で同じ日に実施される。
★いずれかの高校のいずれかの課程・学科・コース等に、1つだけ志願することができる。
★出願後1回だけ、他の高校または同じ高校の他の課程・コース等に志願を変更できる。
★定時制と通信制では、共通選抜の募集人員は全体の80%になる。残りの20%は共通選抜の後に実施される「定通分割選抜」で選抜する。
2.全員が学力検査と面接を受検する
学力検査では、おもに「基礎的な知識および技能」と「思考力、判断力、表現力等」を測り、面接では、「主体的に学習に取り組む姿勢(学習意欲)」を測ります。
<学力検査・面接の特徴>
★学力検査は、幅広い領域で「新たな学力」を把握するため、5教科で実施される。
※高校によって、2教科の範囲で2倍までの重点化される場合がある。
※定時制は、3教科での実施。
※通信制とクリエイティブスクールは、学力検査は実施しない。
※「特色検査」を実施する高校は、学力検査を3教科まで減らす場合がある。
★面接では、以下を全校共通の観点として評価する。
・入学希望の理由
・中学校での教科等に対する学習意欲
・中学3年間での教科等以外の活動に対する意欲
★面接の参考資料として、「面接シート」を事前に提出する。
※面接シートの内容は点数化されない。
3.学力検査は「思考力・判断力・表現力」を重視
2012(平成24)年度入試までは、「基礎的な知識および技能」の把握に重きが置かれていましたが、「新たな学力」をバランスよく測るため、「思考力、判断力、表現力等」の把握をより重視した内容へと改められました。
これにより、2012年まで一部の高校で実施されてきた独自の学力検査問題は、すべて廃止されました。
4.調査書は評定だけを資料にする
中学校が作成し、受験債が願書とともに提出する「調査書」(いわゆる「内申」)は、5段階の「評定」のみを資料とします(クリエイティブスクールを除く)。
<調査書の評価の特徴>
★調査書は、「評定」だけを資料とする。
※クリエイティブスクールは、評定を資料とせず、観点別評価を活用。
※諸活動の記録や初見欄当に記載されている内容は、面接の際の参考資料とするが、点数化はしない。
★第2学年と第3学年の9教科の評定を、以下の計算式にしたがって点数化する。
2年3学期(または後期) 5段階×9教科 =45点満点
3年2学期(または同時期) 5段階×9教科×2=90点満点 合計135点満点
※高校によって、3教科の範囲で2学年+3学年×2の合計値に2倍までの重点化をされる場合がある。
5.各校の特色に応じた検査も実施できる
共通の検査(学力検査と面接)以外に、各高校の特色に応じた検査を実施することができます。これを「特色検査」といいます。
<特色検査の特徴>
★特色検査には、「実技検査」と「自己表現検査」の2種類がある。
※各校で実施する場合は、2種類のうちのいずれかになる。
★特色検査を実施する高校は、学力検査の教科数を3教科まで減らす場合がある。
6.各資料の比率は各校が選択する
選抜は第1次選考と第2次選考に分かれていて、それぞれ「数値S1(S1値)」「数値S2(S2値)」を用いて選考が行われます。
S1・S2値を算出する際の比率は、定められた範囲内で各高校が選択します。
<各資料の比率の特徴>
★第1次選考は、共通選抜の募集人員の90%まで、S1値の順に選考します。S1値は、調査書・学力検査・面接の結果をもとに、各校が決めた比率で算出する。
※資料の一部(おもに調査書)が整わない者については、参考資料にできる資料を活用します。
★第2次選考は、S2値の順に選考します。S2値は、資料の一部が整わない者にも配慮し、調査書の評定を用いずに算出する。
※資料の一部が整わない者だけでなく、第1次選考に漏れた者もその対象にする。
★各資料の比率は、それぞれ2以上の整数にして全体の合計が10になるように配分する。
★特色検査を実施した場合は、その比率を5以下の整数にして、合計の10に加える。
★調査書や学力検査は、各校ごとに重点化される場合がある。
※調査書の評定は、第1次選考に限り、3教科の範囲で2倍を限度に重点化される場合がある。
※学力検査の得点は、第1次選考・第2次選考のいずれでも、2教科の範囲で2倍を限度に重点化される場合がある。
7.全県がほぼ1学区制
国・私立高校入試のしくみ
➀国・私立高校入試の選抜方法
神奈川県の私立高校の入学者選抜方法には、以下のような種類があります。
多くの高校はこれらの中から2種類以上の方法を採用して実施しています。
★推薦入試
出願時に中学校長からの推薦書を提出する入試です。
その高校を第1志望にしている生徒が対象で、試験は面接のみ(作文を課す高校もある)で、筆記試験は行われないのが一般的です。
ほとんどの学校の場合、中学と高校の間で事前に入試相談が行われるため、内申などの出願資格(打診基準)を満たしていれば、不合格になる可能性はほとんどありません。
ただし、慶応義塾のように、出願資格を満たしていても不合格者が出る高校もあります。
★一般入試(書類選考)
面接や筆記試験を課さず、調査書などの出願資格のみで選考する入試です。
第1志望者のみを対象とする場合と、他行との併願が可能な場合があります。
★一般入試(書類選考以外)
推薦入試・書類選考以外の入試です。ほとんどの場合、筆記試験が行われます。
この一般入試はさらに3つに分けられます。
1.単願(専願・単願確約)
その高校を第1志望にしている生徒が対象です。
推薦入試同様、内申などの出願資格(打診基準)を満たしていれば、不合格になる可能性はほとんどありません。
推薦入試との大きな違いは、筆記試験が行われるか否かということです。
2.併願(併願確約)
別の高校を第1志望にしている生徒が、押さえ(すべり止め)として受験するものです。
公立高校の併願のみ認める高校と、私立高校との併願も可能な高校とがあります。
推薦入試や単願同様、内申などの出願資格(打診基準)を満たしていれば、不合格になる可能性はほとんどありません。
3.一般受験(オープンなど)
内申などの出願資格(打診基準)がなく、試験当日の結果のみで選抜を行うものです。
➁打診基準について
一般受験以外の入試では、各私立高校が事前に定める内申点等の基準(「打診基準」「相談基準」などと呼ぶ)を満たしているかどうかで、合否が大きく左右されます。
<内申>
9教科合計での基準を設定している高校が県内で推薦を実施する高校の約8割を占め、最も多くなっています。
<内申以外の内容>
内申以外のさまざまな条件を満たしている場合に、内申合計に加点するなどの優遇制度がある高校が多くなっています。
例えば、次のような内容が評価対象になります。
★生徒会役員・部活動で大会やコンクールに入賞するなどの実績
★3年間皆勤・福祉活動・芸術活動などへの取り組み
➂一般受験(オープンなど)について
一般受験(オープン・フリー・純粋一般などとも呼ばれる)での募集を行う高校は、以下の2種類に分けられます。
<併願制度がない高校>
一般入試(書類選考を除く)は、一般募集のみで行い、打診基準が合否を左右する併願制度を設けていない高校です。
難関・上位校に多く見られます。
<併願制度がある高校>
一般入試に、併願制度を同時に設けている高校です。
多くの場合、併願での受験日とは別に、オープン入試・B日程などの名称で一般受験の入試を行います。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
高校入試のしくみ等でご不明な点がありましたら、お問い合わせください。
次回の記事では、神奈川県公立高校入試の問題分析結果をご紹介いたします!